このページは昨年末に発行した「JCPress」をWeb用に再構成したものです。

 新しい世紀を迎えるまで、あと1ヶ月余りとなりました。バブル崩壊の余波は、まだまだ私達の生活に暗い影を投げ掛けています。そんな中、青年会議所は新しい時代に向けて1998年7月、「中讃地域」をエリアとする、新しい「さぬき青年会議所」として生まれ変わりました。従来のような行政区画にとらわれず、より広範囲の事業を展開していくことで、新しい時代の地域のあり方を模索しています。
 青年会議所は、「自立した快適で活力ある地域を創造し、明るい豊かな社会を築き上げる」ことを目的としています。その目的を実現していくために、今年一年、様々な活動をしてきました。
 丸亀お城まつり期間中、丸亀城内を一杯に使って開催される「お城村」においては、各市町に御協力いただき「中讃物産展」を開催しました。各地の特産品揃え、特に、地域に関心の薄くなっている若者に中讃地域の現状をPRすることができたと思っています。
 「わんぱく相撲さぬき場所」では、従来、丸亀・善通寺の小学生にしか出場権がありませんでしたが、中讃地域に門戸を広げ、多数の参加を頂き、大成功を収めました。各学年の優勝者は、東京での全国大会に参加し、両国国技館で力のこもった熱戦を展開しました。
 今年で6回目となる「ツールド中讃」は、子供も大人も一緒になって、自転車で中讃地域をツーリングすることで、私達の住む地域を見つめ直してみよう、という事業です。毎年1500名を数える参加を頂き、中讃の秋の風物詩と言える事業に育ってきたと思っています。
 そんな中で、香川県の他地域を見回してみますと、キーワードの一つに「市町村合併」という言葉が浮かんできます。東讃地域では、2地域で「広域合併協議会」が設立され、その流れは観音寺市を中心とした三豊地域、また小豆郡でも展開されています。さぬき青年会議所でも、様々な勉強会を通して「市町村合併」の問題について考えてきました。2005年を期限とする「市町村合併特例法」に基づいて、国が中心となって「市町村合併」を推進しています。では、「市町村合併」とは一体どんなものなのか?どんなメリットがあって、デメリットは何なのか?私達が勉強してきたことを御紹介したいと思います。

なぜ今、市町村合併なの?
私達にとって、今住んでいる町はふるさとです。中には、「市町村合併」で大切なふるさとが無くなってしまうと思われる方もいるかも知れません。では、なぜ今「市町村合併」を考える必要があるのでしょうか?

「地域の特色を活かした街づくり(地域主権の確立)」をするためです。

  1. 交通や通信網が発達し、私達の日常生活の範囲は、住んでいる市町の範囲を超えて、大きく広がっています。私達にとって、今の行政区画は実生活にそぐわなくなっていると言えるでしょう。また、隣接した市町で類似の施設が建設されるなど、非効率な部分も数多くあります。そういった余計な部分を省き、またもっと便利な街を作るのが「市町村合併」の目的です。
  2. 国は「地方分権」(JCでは地域主権)を推進しています。国から様々な権限を委譲されることで、より地域に密着した「特色ある街づくり」が可能になります。そのためには、より高度で専門的な行政知識が必要になりますが、現状の行政区画ではそのための人材確保が困難です。行政区画を広げ人材確保を容易にし、「地域主権」の基盤となれる街を創ることが「市町村合併」の目的です。
  3. 今回の市町村合併特例法の施行に際し、国は様々な財政支援策を用意しています。例えば、さぬきJCの活動エリアである中讃2市7町で試算してみますと、合計で700億円を超える額となります。これを利用して生活基盤をより充実させ、住民のための「地域の特色ある街づくり」をしていく事が可能になります。
  4. 以上に掲げた観点から、今後ますます重要になってくる福祉問題・環境問題・循環型社会の整備など重要な課題に柔軟に対応し、将来の地域間競争に勝ち抜いていける力を持った「自立した快適で活力ある地域」を作っていくことが「市町村合併」の目的です。

「市町村合併」で私達の暮らしは?
町が大きくなることで、私達の生活はいろんな面で変化します。それぞれの人で感じ方は違うと思いますが、どう変わるのか、見ていきましょう。
役場が遠くなったり、きめ細やかなサービスが受けられなくなるなど、今までより不便になることはありませんか?
  1. 以前の行政区画を越えて小中学校区が新しく作られるので、より近い学校に通える子供たちも出てきます。また、保育所や幼稚園においても、職場の近くに預けることができるようになります。
  2. 各市町村がそれぞれ建てた施設が同じ条件で使えるようになります。利用が制限されていた他の市町村の公共施設 (図書館、スポーツ施設、保健福祉 センター等)が利用しやすくなります。
  3. インターネットの積極的利用など、利用可能な窓口の増加により、住民票の発行などの窓口サービスが住居や勤務地の近くなど多くの場所で利用可能になります。
福祉などのサービス水準が低下したり、水道料金などが高くなるということはありませんか?
  • 一般的には、事務処理の方法の効率化によってサービス水準は高いほうに、負担は低いほうに調整されることが多いようです。数年後に負担増になる可能性もありますが、他の住民サービスが向上しているなら、一部の負担が増えるのはある程度仕方ないことだと思われます。
中心部だけがよくなって、周辺部はさびれてしまいませんか?
  • 合併に伴う国からの財政支援を利用し、より広い観点から土地利用を検討・調整することで、住居ゾーン、商業賑わいゾーン、工業ゾーン、健康・福祉・文化ゾーン、自然ふれあいゾーンなどをある程度のスケールをもって設定し、魅力あふれる街づくりが出来ます。また、一般的に県庁所在地に集中しがちな大型施設の誘致や大型プロジェクトの実施も可能性が高まります。それが、ひいては若者の定住や企業の誘致につながり、街のイメージアップが図られると言えます。そのためには、私達住民も「地域は一つ」という考え方を持つ必要があるでしょう。

御意見・御要望はoffice@sanuki-jc.or.jpまで

社団法人さぬき青年会議所
香川県善通寺市金蔵寺町398-6